「最後の恋だと思ってたのに」
深夜、親友からLINEが。どうやら彼氏と別れて落ち込んでいる様子。でも酸いも甘いも噛みわけた大人の女性に、いまさら励ましの言葉なんていらない。必要なのは、ショック療法だ。
彼氏と別れて週末の予定がなくなった彼女。ならば、どこかへ出かけよう。
「今日はとりあえずもう寝て、明日13時に東京駅に集合。一泊する準備してきてね」
行先は名古屋。高さ50cmのすごいパフェ
新幹線で約1時間40分。いつも大阪出張や京都旅行で通り過ぎるだけで、名古屋には降りたことがない。彼女の話もまだ序章なのに、あっという間に着いてしまった。
とにかく甘いものに目がない彼女を驚かせたくて、まず向かったのは、住宅地にたたずむ『カフェ ド リオン』。喫茶店文化が根づく名古屋にありながら、一風変わった「カフェ」ではあるが、行列の絶えない名店として全国各地から女性客が訪れる。名物は、高さ50cmにもなるであろう季節のフルーツを使ったパフェ。
オーナーシェフの岸本由美子さんが作るパフェは、常時8~10種類、年間で45種類ものバリエーションを誇る。オーダーしたのは、ひとパックものいちごを使用する、その名も「特選いちごづくしパフェ」と、他では滅多にお目にかかれないであろう「タルトタタン・ラムレーズン」。
味と食感のアクセントがきいていて、食べ飽きない。夢中で食べ尽くし、口もとを拭いながら、親友は今日初めての笑顔を見せてくれた。
Cafe de Lyon(カフェ ド リオン)住所:愛知県名古屋市西区那古野1-23-8電話:052-571-9571(予約可)営業時間:平日11:00~19:00、土日祝9:00~18:00定休日:水曜日、第2・4火曜日
熱田神宮で恋愛成就と美肌を祈願
気持ちが落ち着いたのか、恋愛成就の神社ともいわれる熱田神宮に行きたいと言う彼女。これは何としてもお参りして、次の恋へ目を向けるきっかけにしてもらわなければ。
小石を踏みしめる音を聞きながら、ゆっくり散歩。お参りついでに、本殿の東側にある「美肌の神社」にもごあいさつ。石塔に3回水をかけると美しくなれるとか。
熱田神宮住所:愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1電話:052-671-4151
こんな大人になって初体験、本場の「ひつまぶし」
日も暮れて、そろそろおなかも減ってきた。向かったのは140年も続く、名古屋名物ひつまぶしの老舗『あつた蓬莱軒』本店。本場の「ひつまぶし」を食べるのは彼女も初めて。
うまきや天ぷら、彼女の失恋話をつまみに愛知の地酒をいただき、いよいよ真打ちのひつまぶしが登場。まずは、おひつからうなぎとごはんを移してそのままいただき、2膳目は薬味を添えて、3膳目はお茶漬けにして、最後は好みの食べ方で。仲居さんに指南いただきながら、幸せの味を噛みしめた。
あつた蓬莱軒本店住所:愛知県名古屋市熱田区神戸町503電話:052-671-8686営業時間:11:30~14:00(L.O.)、16:30~20:30(L.O.)定休日:水曜日、第2・4木曜日(祝日は営業)
駅から徒歩5分。名古屋を一望できるホテル
お酒も入ったせいか、店を出てまた涙ぐむ彼女。それでいいよ、だってここは名古屋だもん。まだまだ語って泣いて、笑おうじゃないか。
今回のホテルは、9月にオープンしたばかりの『三井ガーデンホテル名古屋プレミア』。JR名古屋駅から徒歩5分で、どこへ行くにも便利。18階のロビーから見渡す景色は美しく、昼は名古屋市内と広がる山並みが、夜は夜景が楽しめる。
彼女のために用意したのは、ビューバスのツインルーム。バスルームはもちろん、足元から天井まで一面が窓ガラスなので、部屋からも美しい名古屋の夜景が見渡せる。バスジェルやシャンプーは『ジョンマスターオーガニック』のもの。
ロビー階にある宿泊客専用ドアを抜け、雲をイメージした幻想的な明かりに導かれると大浴場(スパ)が。女性用大浴場はロッカールームがゆったりとしているので、湯から上がってからも贅沢な気持ちに。
ゆっくりお風呂に入ってもらって、買ったワインでも飲みながら、おしゃべりしよう。......そう思って、私がお風呂から上がったら、彼女は口もとに笑みを浮かべてすやすやと眠っていた。
朝食ビュッフェ目当てに訪れたい
よく眠っただけあって、朝から元気な彼女。「ここって朝食が有名なんだね」とすでに身支度を終えている。
そう、三井ガーデンホテルは朝食にこだわっていて、グループの各ホテルが「楽しみになる朝食」をテーマに趣向を凝らし、料理コンテストまでおこなう熱の入れよう。
三井ガーデンホテル名古屋プレミアの朝食は、いかにも名古屋らしいご当地メニューが自慢。たとえば、きしめん、どて煮、ういろう、小倉トーストといった名物にはじまり、愛知や近県でとれる新鮮な旬の野菜や米、フルーツ、スムージーなどがいただける。
料理長のイチオシは、ホテルの取り組みである「楽しみになる朝食」料理コンテストに出品した「名古屋コーチンのスパニッシュオムレツ」。愛知で育った彩り豊かな野菜と、愛知が誇る名古屋コーチンを贅沢に使った逸品だ。
私たち、持ってる? やっぱり運はいいのかも
朝食をしっかりいただき、ゆっくり荷造りをして、チェックアウト。ロビーから遠くに見える名古屋城を写真におさめながら、「ありがとね。なんか元気出た」と彼女がポツリ。「じゃあ、最後に運試しして帰らない?」
新幹線までの時間があるので、もう一軒。日本国内はもちろん、香港などアジア各地、そしてアメリカやヨーロッパからわざわざ客が訪れるという噂の喫茶店、戦後まもない1946年から続く老舗『喫茶ツヅキ』だ。
店長がいれば、ある驚きのパフォーマンスが見られるらしい。さらに運がよければ、オーナーと店長によるパフォーマンスも。それがさっき「運試し」と言った理由。
幸いにも、お店にはオーナーの都築憲幸さんとご子息で店長の秀紀さんがいてくれた。パフォーマンスとは、なんと脚立にのって高い位置からカフェオレを注ぐ「カフェオレ天井落とし」というもの。しかもふたりなので「ツインタワー」となる。5年ほど前から脚立を使うようになり、現在では15分ほどのショーに。SNSなどで海外に広まった。
カフェオレを淹れる前の掛け声に、また驚いた。「コーヒーが男性、ミルクが女性。カップの中であわさって、お幸せに~!」
そんな言葉が今の彼女にとってタイムリーだったかは別として、パフォーマンスとふたりの笑顔に励まされたのか、彼女は口をあんぐり。ショック療法は成功した......と思おう!
喫茶ツヅキ住所:愛知県名古屋市中村区太閤通6-1電話:052-482-0001 営業時間:7:30~19:00定休日:年中無休
見知らぬ土地で、あたたかな「家」になってくれるホテル
彼女を励ましたくて選んだ名古屋だったけど、びっくりするようなすごい体験の数々と、歴史や文化にもふれることができ、人のあたたかさが身にしみた旅になった。
旅では、見知らぬ土地で私たちの「家」となってくれるホテルの存在が大きい。もてなしの心をもってやさしく迎えてくれ、この土地のすばらしさを朝食に凝縮して教えてくれて、また来たいという気分にさせて送り出してくれる。三井ガーデンホテル名古屋プレミアを選んで本当によかった。
彼女の泣きはらした目も、もう元通り。明日からまたいつもの生活に戻るけど、何かあったらまた名古屋に来よう。私たちにとって、また大切な場所ができたね。
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撮影/中山実華(1, 2, 6, 7, 8, 9, 11, 12, 13枚目), PIXTA 取材協力/カフェ ド リオン、あつた蓬莱軒本店、喫茶ツヅキ
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